最終更新日 2024年11月6日
働きたくても健康上の理由で働くことができない、あるいは仕事が見つからないなどの理由で生活に困窮する人が相談するのは自治体の窓口が一番身近になります。
そのような貧困にあえぐ人を支援する公的な制度が存在しています。
そのひとつが、生活保護ほどではないが、その手前の段階にいる人に対して支える生活困窮者自立支援制度です。
目次
生活困窮者自立支援制度とは
市町村などの自治体の相談窓口では、自立のための相談を行っているほか、状況により住居確保給付金の支給なども行うことがあります。
また、家計の立て直しのためのアドバイスをしたり、就労のための訓練や準備、生活困窮世帯の子どもの学習サポートなど様々な支援事業を行っています。
それは、住まいがない方に対して一定の期間、衣食住を提供する事業もするなど、相談者が自立できるよう様々な方法を提供する公的な制度です。
生活保護を受ける要件
また、どうしても働くことができずに生活に困窮する人に対しては、生活保護の制度があります。
生活保護にはいくつかの要件があり、その要件を満たしたときに保護を受けることが可能になります。
収入が最低生活費に満たないときや、持ち家や車、土地やなどの資産を持ってないことが必要条件です。
10万円以上の現金や預貯金がある場合や相談者や親族が住んでいない家がほかにある場合は制度を受けられません。
各種保険類に加入しており返戻金がもらえる可能性がある場合も、生活保護を受けることができません。
融資を受けられるカードを持っている時も不可となります。
■例外的に認められる事例
家や不動産があるときは制度は受けられませんが、例外的に認められることがあります。
それは家が古すぎて売却できない時、古いため取り壊しに費用が掛かることが推測されるときなどです。
家があるところが田舎のため、売却することができないと認められた時も家の所有が認められることがあります。
ほかの例外事項として世帯に重い障害者が住んでいる場合に、引っ越しをするとかえって健康を損なうことが懸念されるときも家屋の売却は不要となります。
また車やバイクは生活保護を受けるためには手放す必要がありますが、たとえば交通手段がほかになく、売却してしまうと移動ができなくなる時は認められます。
そのほか世帯に障害者や病人がいるため、通院に車が不可欠のときも所有が認められることがあります。
生活福祉資金の特例貸付
さらにコロナの影響で仕事を失い、経済的に困窮する人に対して政府は、生活福祉資金の特例貸付と住居確保給付金の付与の制度を設けています。
生活福祉資金の特例貸付は生活資金が足りずに悩んでいる人のためのもので、緊急小口資金と総合支援資金があります。
緊急小口資金は一時的に資金を貸し付けるものであり、総合資金は生活を立て直すまで生活費が必要な人へ資金を貸し付けるものです。
ちなみに、世界に目を向けるとユニセフも新型コロナ関連の給付金のサポートを行っています。
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子供の貧困が深刻な問題になっている
一方、これとは別に子供の貧困が深刻な問題となっています。
親に自覚がなく子供の成長に不可欠な栄養や快適な住居を与えられないケースが増えています。
健やかに巣立つための教育の機会が失われ、就労もできないことから貧困の連鎖が懸念されることが問題です。
政府は子供の貧困対策にも乗り出し、2014年に「子供の貧困対策の推進に関する法律」を制定しています。
それは教育や経済の支援、保護者の就労や生活支援など4つの柱から成り立っています。
児童相談所を退所した後のきちんとした生活基盤が不安定なケースや、高校や大学に経済的な問題で進学できない子がたくさんいます。
一日の中で栄養が摂取できるのが給食だけという子供もおり、深刻な問題となっています。
子供の未来応援国民運動を2015年にスタート
そうした子供の応援をするために、政府は子供の未来応援国民運動を2015年にスタートさせています。
■子供の未来応援基金
その運動は大きく分けて3つあり、その一つが子供の未来応援基金です。
それは、企業や個人から広く寄付を募り子ども食堂や児童相談所などに未来応援基金を運営資金として、提供しています。
■マッチングネットワーク推進協議会
2つ目は、「マッチングネットワーク推進協議会」でNPO法人と企業をうまくマッチングさせて子供に対して応援を行うものです。
■子供の未来応援フォーラム
3つ目は「子供の未来応援フォーラム」です。
広報活動を行うことで子供の貧困の実態に対して国民の理解を求めています。
こうした法律の制定により、より多くの子供たちが学習や健全な成長の機会の提供を受けることができることを目指しています。
まとめ
様々な公的制度が国や自治体にあるので、こうした制度を上手に利用して生活を立て直すチャンスを図ることが大切です。
そのためには自治体の相談窓口に出向き、現在の状況を詳しく説明し理解してもらうことが必要になります。
生活再建の見通しを立てることで希望が持て、生活基盤の安定を得ることができるようになります。
就労の訓練や準備をしっかりとすることで、働くことに対しても意欲が持てるようになるはずです。
コロナなどもあり雇用情勢は厳しいものがありますが、公的制度をしっかりと利用して就労の機会を得ることが大事です。